コラム
チェコだけど、ベトナムコーヒー
旧社会主義国であるチェコには、中国人のほか、ベトナム人も多く住んでいる。
アンティークショップでは中国茶用の蓋つきマグカップや、ベトナムコーヒー用ドリッパーも見つけることができる。
チェコでは少なかった新鮮な野菜を売る店や、小さな商店で、彼らに会うことができる。
しかし、日中の町中やレストランで遭遇したことはない。
異国の地でよく働く彼らも、家に帰れば祖国の味を懐かしんでいたのだろうか。
ベトナムコーヒーを淹れてみる
ドリッパーにコーヒーを入れ、
穴の開いたフィルターをのせる。
カップには、
コンデンスミルクを、たっぷりを入れておく。
熱い湯を少し入れ、コーヒーを蒸らし、
その後、一気に湯をそそぐ。
蓋をして、しばし待つ。
このドリッパーは、ステンレス製と思われる。
しっかりと籐が巻かれた持ち手がついており、おかげで熱湯が入っても、熱くなく持てる。
ベトナム式ではもう1つ、同素材の穴の開いたお皿があるはずだが、これには無かった。
穴も1つ。
ポタ、ポタ、落ちる。
ちょっと覗くと、こんな感じ。
*ベトナムでは、ガラス製のカップに落とされる*
ミルクとコーヒーが、くっきり二層になるのが見えて、きれいだ。
でも結局、飲むときは混ぜてしまうし、
ミルクの油分でガラスの透明感が損なわれるので
私はカップの方がいいと思う。
ここで、<ベトナムコーヒー基礎知識>
1.ベトナムは、ブラジルに次いでコーヒーの輸出量世界二位
2.豆の種類は、缶コーヒーやインスタントコーヒーに使われるロブスタ種
3.独特の淹れ方は、フランス領時代の古いヨーロッパ式
ふと、ここで気が付いた。
チェコにベトナムコーヒーフィルターがあるのは、チェコに住むベトナム人が使っているからだと思っていた。だが、ベトナムがフランス領だった頃、つまり19世紀のヨーロッパではこの淹れ方でも飲まれていたわけで、もしかするとその飲み方が、少数派ながらチェコにも残っていたのかもしれない。
そう思う理由:
私が見つけたドリッパーは、巷でみかけるような簡素なアルミ製ではなく、ちょっと洒落っ気のあるしっかりしたもの。
チェコにいるベトナム人の多くは、裕福な生活を送っているようには見えません。本国より優雅な器で飲んでいるというのは違和感があります。
いつかどこかで、この真相を掴みたい。
ベトナムコーヒーに合わせるのは、東方の風を感じるカップ
チェコはヨーロッパの中心、「中欧」と呼ばれる場所。
東西ヨーロッパ、ロシアのほか、アラブ地域とも、距離は結構近い。
いかにもヨーロッパ的な花柄のほか、こんなオリエンタルな雰囲気を感じるものもある。
チェコ人はスラヴという民族だが、彼らは文字を持たなかったため、カルパチア山脈のあたりから来たという通説しか分かっていない。女性達は髪を赤や金に染めている人も多く、よく見ると、こげ茶や黒の髪の人が結構いるのだ。プラハを離れ、東の街へ行くと、俄然、黒髪のひとがたくさんいた。
チェコにいても、ときどきアジアを感じます。
- 2016.11.22
- 15:49
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