ボヘミア・アンティークとは
ボヘミアングラスとは?
ボヘミアでガラスが作られたのは9世紀頃と云われています。長い歴史に培われた、高い技術によって作られたガラス製品です。
●なぜ、ボヘミアでガラスが作られた?
ガラスの原料となる良質の資源に恵まれていたため、古くからスラブ民族は、「とんぼ玉」などを作っていました。
そして、ボヘミアの豊かなブナの森は、ガラス産業に不可欠な燃料となり、ここで作られたガラスは「森林ガラス」と呼ばれるようになりました。
●なぜ、ボヘミアングラスが、ヨーロッパ王侯・貴族たちの人気を独占するまでになったのか?
既に、不動の地位を築いていたヴェネチアングラス。これに対抗するため、ボヘミアでは王様をはじめ、職人達の並々ならぬ努力がありました。
外へ出れば死罪であったはずのヴェネチアのガラス職人を呼び寄せたり、宝石職人がガラスを彫刻したり、着色法を考案したり。様々な装飾を施し、高度な技術を開発しました。
中でも、ヴェネチアの製法に倣うことをやめ、独自性を出した時、ボヘミアのガラス産業は大きく飛躍しました。ヴェネチアのソーダ灰を使わず、ボヘミアの素材で、独自の製法をとることで、ついにヴェネチアを追い越し、世界シェア№1を成し得たのです。
●ボヘミアングラスの特徴
ボヘミアングラスの母は、広大な“ボヘミアの森”です。
豊富な燃料として、またブナの灰から得る「炭酸カリ」により、限りなく透明に近い、水晶のようなガラスが作られます。
同じように見えるガラスですが、ガラスにも種類があり、それぞれ特徴があります。ボヘミアングラスは、炭酸カリを入れるので「カリガラス」と呼ばれています。
- 「カリガラス」は、くもりのない「高い透明度」を誇ります。
- 「カリガラス」は、「硬い」ガラスです。 →より深く、より多く削ることが可能です。ガラスが宝石のように輝き、立体感のあるレリーフを彫ることもできます。
- 「カリガラス」は、きれいに「発色」します。 →さまざまな、色ガラスが作られています。
日本では『高級グラス=クリスタルグラス』のように思われがちです。確かにクリスタルグラスも、鉛を入れて透明度を出した美しいガラスです。それぞれに、違う透明感を感じます。
- 『クリスタルグラス』は、キラキラとして、あやうく、はかない美をもったガラス。
- 『カリグラス』は、穏やかで、じっと動かない、森の奥の湖のようなイメージ。
日本で、いまひとつボヘミアングラスが知れ渡らない理由、それは「ブランド」がモーゼルぐらいしかないからでしょう。
ボヘミアングラスは、小さな町工場や工房で作られてきました。ブランド名やサインなんてありません。「いいもの作ればいいんだろう」という声が聞こえてきませんか?日本の職人さんと似ているのかもしれません。